在デュッセルドルフ日本国総領事
河原 節子
9月30日に着任しました河原です。ちょうど着任から1ヶ月経ったところで、このご挨拶を書いています。これまで欧州勤務の経験が長いので、生活にはすぐ慣れましたが、すでに驚いたことが沢山あります。まず、着任早々日本人コミュニティーの方々に歓迎レセプションを開催いただいたこと。普通は着任した大使や総領事の側がご挨拶のためのレセプションを主催するので、驚くと同時に感激しました。そして、州内各地で開催される日本関連の行事に頻繁にご招待いただくこと(身体が1つでは足りない!という、うれしい悲鳴です)。また、ドイツ側要人に面会をお願いすると、すぐに前向きなお返事をいただけること。加えて、同僚の各国総領事からは一様、に日本の存在感はピカイチでうらやましいと言われること。
こうしたことを通じて、当地での日独関係がどれほど深くて広いものであるか、日本の存在感が如何に大きいか、そして日本が当地の社会に様々な形で貢献しているかなどを、日々身をもって感じ、ありがたく思っています。
こうした中、20年近く前に、ある外国の大使の方がスピーチで言っていた言葉がふと頭の中をよぎり、それ以降頭を離れません。その言葉は、「外交官の仕事は『庭師』と同じである」というものです。二国間関係という『庭』を何十年、何百年にもわたって代々受け継いで、手入れする仕事ということです。その大使はスピーチの中で、その意味をこう説明していました。庭には、様々な木が植えられていることでしょう。植えたばかりの木もあれば、古い木があるかもしれません。実のなる果樹もあるでしょう。天候も色々で、嵐の日もあれば、雪の日もある、日照りの時も穏やかな春の日もあるでしょう。こうした移り変わる天候(=国際情勢)の中で、様々な植物が植えられている庭を美しく保つためには、毎日庭を歩き回って注意深く観察し、いつ水やりや種まきをするか、収穫するかなど、タイミングの合った細かい手入れをすることが欠かせません、と語りかけていました。
私は、小さなコンテナガーデンで花や野菜、ハーブを育てた経験しかありませんが、毎日天気予報を見て、温度をチェック、土は乾いていないか、肥料は足りているか、雑草を抜かないと、支え木をつけないと等、子供を育てるように毎日植物と触れあっていました。ノルトライン=ウェストファーレン州には、豊かで広大な庭が広がっています。何十年も経った立派な大木やそろそろ果実が実りつつある木もあれば、まだ若木で丈夫に育つまで細心の注意が必要な木もあるでしょう。時には土を耕し、肥料も加えなくてはなりません。新しい種や苗を植えたりして、次の世代にさらに豊かな庭を引き渡すことができれば素敵です。
各地に足を運んで様々な分野の方にお会いし、当地の社会について学び、人と人と結びつけながら、長年にわたり大切にされてきたこの『日独交流の庭』を更に豊かなものにできたら嬉しいです。一緒に『庭仕事』してくださる方、大歓迎です!