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フォルクスワーゲン・ケーファーの子

ロナルド ゲンスラ

ドイツにおいてクラシックカーは、自動車の歴史的文化遺産を担う特別な乗り物として認められている。その為、30年以上前に作られた車で、手入れがきちんとされていて、オリジナルの状態を保ちつづけているクラシックカーには、歴史的(historisch)と言うドイツ語の頭文字「H」が車の登録番号の右端に記されている。税金も、モーターの大きさと排気ガス量によらず、安くなっている。一年に一万キロ以上は走ってはいけない決まりがあり、それゆえたまにしか走らないし、大切に運転されるので保険料も安い。このクラシックカーを、復元させたりまた走れるように直したりする専門分野も確立している。スペア部品専門販売店から、車体専門修理屋、座席修理屋、機械修理工場、そしてクラッシックカー専門販売店まである。現行の自動車メーカーではクラシックカー部門を設立して、今では存在しない会社のクラシックカーのスペア部品を供給できるようにしている。

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フォルクスワーゲン・ケーファー(日本では”ビートル”の名前のほうが有名かもしれない)は、一番多く走っているクラシックカーだ。そのファンと車はみんなすぐ仲良くなる。乗ってみればそれがわかる。1975年物のVW1303の中では、みな肩と肩とを触れ合わせるように座るものだ。卵型の車体は今ではとても狭く感じるけれど。

リアエンジンも今まで特に世間で注目されたものではなかった。実は1945年から1970年の間に、のんびりした24.5PSから倍の50PSに増大しているのだが。それでも、とにかく目立つ車として作られてはいなかったが、2003年まで世界中で2150万台も生産されている。

私も、他の多くのドイツ人と同じようにケーファーの中で育った。小さい時から、空気で冷やされた水平対向エンジンのブルンブルンという気持ちを静める音を聞いていた。子供は小さいのでリアエンジンのそばの後部席に座らされていたのだ。そして10代の頃に車自体に興味を抱いていった。

私の家族は1970年から途切れること無く、家族の一員としてケーファーをガレージに住まわせていた。その為、私が初めて修理した車もケーファーとなり、初めて自分の物となった車もケーファーだった。信頼性、経済性そして修理が簡単な事が機械工学を学ぶ私を納得させた。そしてその車体の曲線とブルンブルンというエンジン音に魅了されていったのである。

ホビーが人を繋ぐという。クラシックカーに乗って走っていると、それがどの車種であっても、通り過ぎる人が笑顔を向け、運転手同士は手を振り合う。どんな車種に乗っていても、クラシックカーに対する喜びや憂いを語らう「ガソリン話」という共通の話題があるのだ。ただし、クラシックカーファンには、いくつかのタイプがいる。グループ分けをしてみると、
次の通りである。

元々の持ち主:新車を購入し、長い間こよなくその車を愛し、大事に使い、修理し、その車と伴に年を重ね、車への愛情は変わらない。滅多にはいないタイプだが、その車の人生を知りつくしている。

熱狂者:クラシックカーを所有する余裕がある所得層で、毎日でも乗りたいタイプ。彼らは他の熱狂者達との交流を好む。自分で修理することはあまりない。

純血修理屋:ただ乗って走るよりも、自分でいじくるのが好きなタイプ。古い単純な機械技術を愛する。但し、修理が終わり出来上がってしまうと、もうその車への興味が薄れ、新たな対象を探し出す。

ホビー修理屋:いじるのも好きだし、乗るのも好き。修理が出来て昔の技術がまた機能するのを実感することを喜ぶ。誰かの修理の手伝いに進んで手を貸すタイプ。

投機家:経済的価値が上がるという事のためだけにクラシックカーを所有するタイプ。技術に感心もないし、好きという訳でもない。若いファンや中所得層をひるませるような価格高騰の原因となっている。クラシックカーファン内では嫌われている。

自慢屋:格好づけのためだけに所持していて、その技術や歴史に何も関心が無い。過剰に見せつけて、やはり嫌われているタイプ。

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一人で楽しむ人もいれば、仲間と車で集うのが好きな人もいる。ドイツに、いや世界中にクラシックカークラブが溢れていて、そこでは会員の定期的な集まりがあり、年に一度の総会では同じメーカーや同じモデルを好むファンたちがクラシックカーに乗っていろいろな所から集まってくる。ヨーロッパで一番大きなフォルクスワーゲンの集会は、毎年5月1日にハノーバーで催される。天候がよい場合には、2〜3千台が集う。他にも、クラブの仲間と同じ車を連ねてあちこちへのドライブを楽しむこともよく行われる。ドライブ先はいろいろあるが、ドイツ中に存在するクラシックカー博物館を目的地にすることも多い。

また、クラシックカーマルクトも毎年行われる。例えば、10月にはマンハイムでVETERAMAという、ヨーロッパ大陸で一番大きなクラシックカースペア部品マルクトがある。そしてファンならば必ず抑えておきたいのが、シュトウットガルトのレトロ・クラシックやエッセンのテクノ・クラシカなどのビッグメッセである。

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(日本語翻訳:文化部・ホンベルグ)