~ホームオフィスと日常生活を自由で楽にさせる方法~
イルマ ヘス
「アレクサンダー・テクニーク」とは心身技術です。そのテクニークで自己意識を深め、不健全な動作を変えることで、調子を良くし、病気になりにくい身体をつくることができます。
ほとんどの人は、職場の事務作業や日常生活の中で、無意識に体に良くない姿勢をとっています。例えば、パソコンで仕事をする際、⻑時間座って画面に集中しなければならず、キーボードとマウスを使って同じ動きを繰り返し、ずっと同じ方向を見ていると、首と肩や腕と手の部分に大きな負担がかかります。その上、ホームオフィスでは運動不足にもなりがちです。
パソコンを使って仕事をしている人は、作業に夢中になっているため、自分の状態に気づかず、全身がどれほど緊張しているかその時はわかりません。その結果、上半身の筋骨格系に慢性的な過負荷を与えるケースが少なくありません。しかし、緊張の癖に気づいても、これを変えるのは多くの人にとって非常に難しいことです。いわゆる、「習慣の力」です。これに加え、仕事の作業プロセスに注意深く、そしてリラックスすることを両立させる効果的な代替対策を知っている人はほとんどいないと思われます。
この問題の解決にアレクサンダー・テクニークが役に立ちます。アレクサンダー・テクニークを学ぶと、自己意識を高め、新しい動き方の習慣をつけられます。この方法は、先生のレッスンを受けて学ぶことができます。
レッスン内容について:
まず初めに、生徒は自分の動きのプロセスを意識し、その動きにどのような障害や緊張が生じるかを先生に説明します。そうすることによって、自分の動きに対する意識が高められます。
次に、先生がいくつかの基本的な体の動きの原則について説明します。最も重要なことは、頭と脊柱(背骨)のリラックスした相互作用です。揺り椅子が床の上で自由に前後に揺れてるのと同様に、頭は、脊椎(環椎)の最上部の椎骨で可能な限り自由にそして緩くバランスをとることができなければなりません。生徒は先生の言葉を聞きながら、又は先生が軽く触れて指導することで、体の不要な緊張を解き、自然な頭のバランスを取り戻すことができます。それは多くの人に大きな安心感を与え、全体的な体の動きの改善に繋がっていきます。
ポイントは、脊柱上の頭が自然なバランスでリラックスし、そしてこれは決して意識的に作られた動きではないことです。アレクサンダー・テクニークを発見し、方法論化したフレデリック・マサイアス・アレクサンダー(Frederick Matthias Alexander, 1869年 - 1955年)は、身体の自己組織の原則について次のように説明しています。「間違った使い方をやめると、自然に、人間に生来そなわっている正しい動きが生じる。」
次のステップでは、先生のサポートを得ながら、生徒は新しく改善した身体の動きや意識をパソコンで仕事をする時に応用します。先生と生徒は、仕事に必要な動き方の要素を一緒に考えます。動き方を変えることができるよう、自分の動きを良く知っていることが必要です。逆に言えば、自分の動きを良く知らないと、効果的かつ持続的に動き方を変えることができません。この段階で、多くの生徒が、自分の慣れ親しんだ日常の動きのルーチンを具体的に説明できないことに驚き、そしてどれほど意識せずに動いているか、初めて気づきます。
動き方を理解した後、新しく学んだ自然で無理のない体の動きをパソコンの仕事に応用します。
生徒たちは、新しい動き方を身に付けても、日常生活に戻るとパソコンの画面に集中するせいで、学習したことを覚えていないのではないかと最初は心配します。しかし、ほとんどの生徒が良い結果を報告しています。動き方を意識し、注意を払うという新しい習慣がしっかり定着しています。想像よりはるかにこのメソッドを多く使うことを覚えています。レッスンが終わると、生徒たちはパソコンで仕事をする時の最適な動き方について、基礎的な考え方とスキルを身に付けることができています。
*レッスン前
*レッスン後
レッスンの体験とそこから得た知識は、人によって異なるため、誰にでも効く動き方のレシピを生み出すことや見せることはできません。学習目的の一つは、常に今の瞬間と今の動きに注意を向けるようになることです。生徒は一般的なアドバイス(背筋を伸ばして座るなど)に従うのではなく、自分の体験から、自分自身に与える指示を導き出します。アレクサンダー・テクニークは、身体的なテクニークというより、その時の状況に必要な思考の訓練といえます。
レッスンの次のステップは、これらの新しい知識とスキルを他の日常の動きに置き換えることです。例えば、楽器の演奏やスポーツ、家事など。アレクサンダー・テクニークには次のメリットがあります。
・体力を使いすぎず、体の効率が高まる。
・作業を中断することなく、日常の活動(例えばパソコンの仕事)をしながら使える。
・効果は持続する。自分の体の扱い方を学び、効率的に体力を使いすぎないよう、活動できる。
学術調査によると、慢性的な腰痛に対し、アレクサンダー・テクニークが非常に効果的であると確認されています。579人が参加した大規模な臨床比較試験では、アレクサンダー・テクニークを24時間学習した被験者が、最も効果を得ました。腰痛で悩んでいた参加者の97%は、痛みが少なくなったと言っています。以前は1ヶ月の内、21日間腰痛があったのに、それが3日間に減少し、改善された姿勢は1年経っても効果がありました。同様な結果はマッサージや理学療法、痛みの治療では達成できませんでした。
アレクサンダー・テクニークは個人レッスン又はワークショップで学習できます。対面授業やオンラインレッスンも可能です。
是非、アレクサンダー・テクニークにトライして、いかに自由で楽な動き方が、より良い体の感覚に繋がるかご自身で体験してみてください。
Irma Hesz, Düsseldorf
HP: www.alexander-technik.de
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Tel.: 0211-7886780