耳よりコ-ナ-生活編

コロナ禍による物件借主への影響  

コロナ禍での旅行警報や接触制限、多くの不明瞭な規則は、日常生活にあらゆる分野で影響と不安感を生み出しています。飲食業、スポーツ、芸術等のあらゆる制限は、事業存続を脅かし、従業員解雇を余儀なくされ、継続発生する家賃支払にも直面させられます。
コロナ禍で変更された法的枠により、住居、販売店、事務所、診療所等、特に事業目的である賃貸案件は、その不明瞭さから疑問が必然的に沸き上がっています。それらの中の幾つかをご紹介しましょう。

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  • コロナ禍で経済不安が想定されます、それでも家賃支払義務は通常通り発生しますか?
  • コロナ禍も、家主や技術者の入室希望時は受入義務がありますか?
  • 在宅勤務が増え、管理費の事後精算額急増が懸念されます。コロナ禍による管理費項目の増加はありますか?

コロナ禍で経済不安が想定されます。それでも家賃支払義務は通常通り発生しますか?

コロナ禍でも、基本的に家賃支払義務は継続します。家賃滞納により退去を強いられる可能性があり、それに伴う費用(強制退去法的費用、弁護士費用etc.)も請求されますので、家賃支払継続に経済的困難の兆しが見える場合には直ちに手を打たなければなりません。但し2020年4月~6月の家賃滞納等は、コロナ緩和措置施行に準じ家主からの契約解消は通常通りにはなりません。いずれも家賃支払継続の雲行きが怪しくなる兆しがあるならば、家主と解決の手段を早い段階で積極的に話し合うことを強くお勧めします。話し合いの前準備として、特に以下の点を明確にしておきましょう。

  • 公的援助の受給有無/可否
  • コロナ渦により、家主の意向に関わらず契約内容の変更を主張できるか

公的援助
コロナ禍による経済的損失を補う為、特に致命的経済打撃を受けた企業や自営業者に向け巨額の助成金が用意されています。条件及び申請は連邦及び州のホームページより可能です。個人の方々は、失業保険補填やその他社会保障の申請ができます。

契約内容変更の主張
特定情状と認められ、それがコロナ渦による状況変化である場合に契約内容変更を主張できます。
先ずは、賃貸契約がコロナ禍前に締結されていること。契約書にForce-majeure(不可抗力条項)もしくは類似協定があるならば、それが予想不可能な状況を含んでいるかを見ます。その様な文言がある場合、契約内容の変更例えば家賃減額等の請求権を検討することができます。

その様な文言が無い場合、 民法313条(§313 BGB)を仰ぎ、契約内容変更の主張検討をします。その為には、契約締結後に深刻な状況変化が起こり、これらの変化が予想可能で回避可能であったならば、賃貸契約は締結し得なかったもしくは別条件での締結をしていたという状況である故に、契約内容の根本を見直す必要があるという解釈です。

現在私達が直面しているコロナ禍は、想定不可能な状況であったことを疑う余地はありません。この状況が借主保護の請求権発生に値するか否かは、個々の状況に基づく総合的判断となります。現行の家賃額、契約期間、家賃額の算出方法(例:売上と家賃のリンク等)も重要です。一般的リスクの配分、売上減少額やその期間等多くの判断材料が検証されます。
それらの検証後、契約内容変更の主張権利が認定されると、具体的にどの様な合理的方法を取るか検討します。家賃減額には、賃借スペースの削減や別物件への移動等も補助対策として考えられます。いずれの場合も、契約内容の変更は、家主と借主の両者にとり有益となるべき策です。それでも家主側が拒否する場合は、支払困難に陥る前に適切な処置と必要に応じて法的措置も視野に入れて動きましょう。

コロナ禍も家主や技術者の入室希望時は受入義務がありますか?

賃貸物件への入室希望受入やその条件は、内覧目的によります。例えば配管破裂等早急の修理が必要な場合は、家主や技術者の侵入許可はやむを得ないでしょう。私の見解としては、家主が単に賃貸物件の状態を視察したい場合、現感染状況が好転しない限り、借主が感染リスクグループである場合は猶更、借主の感染リスクを避ける方が優先されるべきと考えます。物件購入希望者や次の借主候補の内覧に関しては、現状でも入室を許す必要(現行コロナ制限は確認の上守ってください)があります。候補者を入室させる代わりに、家主にバーチャルツアーを強制することはできません。但し現行の衛生規則を守らない入室者には侵入拒否や退室を言い渡すことはできます。

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在宅勤務が増え、管理費の事後精算額急増が懸念されます。コロナ禍による管理費項目の増加はありますか?

在宅勤務が明白に増えたなら、水道・下水・暖房、電熱費の事後精算額上昇は念頭に置いておきましょう。電熱費に関しては、家主ではなくエネルギー供給元からの請求が分配されます。それ以外も家主にとっては立替分であり利益が発生すべきものではありません。一方で雇用主側は従業員の在宅業務により、経費節減になっている可能性はあります。その辺りを相談してみるもの良いかもしれませんね。
いずれも、対象年度の事後精算書が事実に沿っているか注意深く確認しましょう。また、新たな管理項目がコロナ絡みで増やされていないか支払前に確認することをお勧めします。

皆様の健康をお祈り申し上げます。

弁護士 レネ・ヨウデ, Düsseldorf
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