コロナ禍での子供との接し方


~子どもを護るために大人ができる8つのこと~

日本クラブ ちびっこ集まれ講師・シュタイナー幼児教育者 稲垣 真理子

今年3月中旬にドイツではコロナ感染者の増加に伴い、学校・幼稚園を始めあらゆる教育機関、公園が閉鎖された。日々増える感染者の数やアメリカ、ヨーロッパ諸国の病院内や街の様子が連日テレビやネットニュースで放送され、誰もが釘付けになり、多くの人が毎日不安な日々を過ごした。これは今まで経験したことのないくらい大きく人々の身体と心の健康を蝕んでいった。

この様な状況の中で、多くのお母さんから「子どもが急に叫んだり、泣いたりするようになった」「わがままを言う事が多くなり、聞き入れないと癇癪を起こす」「急に怒り出す」「夜泣きをするようになった」などの報告を受け、そして親としてどうしたらよいか?というたくさんの相談を受けるようになった。

私は長年幼児教育に関わった人間として、この紙面で「家庭でお子さんを護るために大人ができる8つのこと」を記したい。コロナ禍の中ネット上ではこういう記事が多く掲載され、あまりにも当たり前になっていることかもしれないが、日本からドイツに赴任し、この地で生活するという特殊な事情の中での子育ては、日本での子育てとは、多くの点で異なるため、このことも考慮に入れた内容にしていきたいと思う。

以下の8つは、特に幼児期の子どもの特徴を踏まえて考えているが小学校の低学年でも当てはまることは多いと考えている。
そしてその内容の前提として、幼児期の子どもの特徴を2点上げておきたい

①子どもの感覚は大人と比べるとはるかに開かれており、周りの環境から受ける影響を心だけでなく体全体で受け止める。社会の不安や家庭内での問題が心だけではなく、体のあらゆる部分に影響が及び成長の阻害になることがある。

②この時期の子どもは真似をすることでいろいろな家庭や社会のルールを覚えていく。言葉で理解するより、大人の行動を見てすべてを学んでいく時期である。それは大人の態度だけではなく、心の中も同様である。

子どもを護るために大人ができる8つのこと

①子どもの苛立ち、癇癪、我儘を先ずは受け止める。
幼い子が泣きわめくことは、何が原因か分からないことがよくある。コロナ禍では、社会の不安をそのまま受け取りいつもと違う行動や態度になりやすいので、励ますより、先ずは「わかったよ」「悲しいねー」などの言葉で子どもの心を受け止め、体に触るなどして、共感することが大事である。

②子どもの前では、コロナの話はしない。
出来る限り子どもがいる時にコロナの話題を出さないようにし、ニュースや動画を見せないようにする。

③家庭では楽しい話題を話すように心がける。
子どもの行動を常にポジティブに受け取り、否定形ではなく、肯定形で話をする。
例「走っちゃダメ」→「ゆっくり歩こうね」

④栄養のバランスを考え免疫力を高める食事を家族全員で楽しむ。
在宅勤務の父親は今までにない子どもとの大事な時間と捉え、できるだけ子どもと一緒に食事をとるよう心掛ける。幼稚園児以上では、調理や準備を一緒にする機会を多くする。
 
⑤休みの日はできるだけ森などの自然の中へ出かけ、自然の豊かさを体感する。

⑥一日の中で子どもの「好き」をとことんできる時間を取る。
友達と遊べない状況下では、どうしても動画やテレビに集中しがちだが、それ以外で、子どもの「好き」なことだけとことんやれる環境を用意する。

⑦子どものリズムを大切にする。
子どものリズムは大人のリズムより、かなりゆっくりしているので、やるべきことをいかに少なくするかを考える。心の安定は繰り返しのリズムから生まれる。日々の生活のリズムを整えながら、好きなことは何度でもできる環境をつくる。

⑧在宅勤務になっている場合は、父親の一日の過ごし方を家族内で話し合う機会を持つ。
父親の仕事優先で子どもが家の中で子どもらしく遊べない状況が多くみられる。
駐在という特殊な事情での生活で共働き世帯が少ないことから、どうしても子育てが母親中心になってしまいがちである。コロナ禍のこの時期、家族みんなが居心地良い空間をつくるために、お互いの働き方について話し合う機会を持つことは大切である。

以上8つを書き出してみたが、どれも普通に子育てにおいて大事にしたいことである。ということは、どんな社会であっても、家庭の中、自分の心の中をどうやって整えていくかが一番重要であり、そのことが子どもを護ることに繋がっていく。

私達は、社会の不安や未来への怖れを全く感じずに生きていくことはできない。しかし、それを前向きな気持ちとして変えていくことはできる。コロナという訳の分からない怪物の前でただ怖れるのではなく、それを一つのチャンスとして捉え、パートナーシップ、子育て、教育について今一度何を大切に生きていきたいかを考える時期に来ていると思う。

S11 web

*毎週月曜日に日本クラブで開かれている「ちびっこ集まれ」の様子