新型コロナウイルスの影響
現在世界で大流行している新型コロナウイルスは、ヨーロッパ、そしてドイツにも大きな影響を与えている。世界で最も多い観客動員数を誇るドイツ・ブンデスリーガは、今シーズンもこれまで平均で4万1千人近くの数字をたたき出しているが、それだけ多くの人たちが集まるイベントは、集団感染を起こす可能性が高いため、開催の自粛を求められることとなった。
こういった中、ブンデスリーガを運営するDFL(ドイツプロサッカーリーグ)は、3月11日(水)に予定されていたボルシア・メルヒェングラードバッハvs.1.FCケルンを無観客で開催することを決断。1963年にブンデスリーガが開幕して以来、初めてとなる無観客試合となったが、その2日後には、フォルトゥナとSCパーダーボルンの一戦も、同様に観客を入れない形で開催される予定となっていた。しかし試合当日になり、パーダーボルンの監督及び選手に疑わしい兆候が出たため、急遽試合を中止することを決定。同時にこの週末に行われる予定だった第26節全ての試合も延期されることとなった。そしてこの後、パーダーボルンのルカ・キリアン選手に陽性反応が確認されるという事態に発展した。
無観客での試合開催は、集団感染の予防及び、選手監督ら現場への感染の可能性を排除するためという目的もあったが、その後もヘルタ・ベルリンやアイントラハト・フランクフルト、ブンデスリーガ2部でもハノーファーや1.FCニュルンベルクの選手から次々に陽性反応が確認され、この状況を重く見たDFLは、続く第27節も全て開催を見合わせることを決定した。
当初、リーグ中断は4月2日までを予定していたが、3月31日に再び全クラブを含めた臨時総会を開催し、4月30日まで中断期間を延長することが決定した。なお、5月からリーグ戦再開する方向で調整することを確認しているが、4月中旬に再び話し合いの場を設け、その時点での状況を考慮した上で、更なる展開を判断することになる。またリーグ戦が再開されても、無観客での開催となる可能性が非常に高い。
現在のところフォルトゥナの選手たちは、全員が“ホームオフィス“となっている。監督コーチ陣から個別の細かいトレーニングメニューを渡されており、すでに選手自宅にはそれぞれ室内用のトレーニングバイクが届けられ、コンディションを保つ努力を続けている。チーム練習は4月5日から再開可能という通達が出たので、細心の注意を払いながら、リーグ戦再開に向けて準備をすることになりそうだ。
調子が上がり始めたところでリーグ中断
ウーヴェ・ルスラー監督は就任後、今回のコロナの影響でリーグが中断するまでのブンデスリーガでの6試合で、1勝1敗4分けという数字を残している。勝ち点1点の獲得に留まった4試合についても、十分に勝利に値する戦いができていただけに、取りこぼしているという印象もあるが、それでも新加入のMFヴァロン・ベリッシャと十字靭帯断裂の大怪我から復帰したMFケヴィン・シュトゥーガーがチームに加わってからは、圧倒的に試合を優位に進める時間帯が増えている。さらに肺炎によりこちらも長期離脱を強いられていたFWケナン・カラマンが復帰すると、得点力や前線でのボールキープ率も高まり、チームは以前よりも見違えるようなサッカーを披露できるようになってきていた。それだけにこのタイミングでリーグ中断となってしまったことは、チームにとっては少々残念なタイミングになってしまったかもしれない。リーグ戦が再開した際には、このダブル司令塔と、トルコ代表アタッカーの活躍に期待していただきたい。