ドイツで交通事故にあったら?
デュッセルドルフ市内は公共の交通機関が整備されているので車がなくても快適に過ごすことが可能だ。それでも、ドイツは車社会。車のない生活なんて考えられないなんて思っている人も多いはずだ。このことを踏まえて、普段から車を運転する方にもそうでない方にも、交通事故にあってしまったらどのように対処すべきなのかを覚えておいていただきたい。
交通事故にあった際のチェックリスト
1. 落ち着いて状況を把握する
・車を安全に停止させて、深呼吸をする。
2. 事故現場の安全を確保する
・ハザードランプを点灯させて、Warnweste (光を反射するベスト)着用してから、後ろから来る車に危険を知らせるためにWarndreieck(三角停止表示板)を自身の車の後方に設置する。Warndreieckと事故車との距離の目安は以下のとおり。
・Stadtverkehr(街中の道路)では50m
・Landstraße(市街地の道路)では100m
・Autobahn(高速道路)では200m
3. 警察、また、必要に応じて救急車に電話をする
・どこで何が起きたのか、けが人がいるのか、車が何台その事故に関わっているのかを的確に伝える。
・ドイツ国内ではどこにいても112で救急に、そして、110で警察につながる。
4. 救急処置を行う
・事故の現場に居合わせた場合は、たとえ自身が事故に関与していなくても、救急処置を行うことが義務付けられている。ここにはあえて書かないが、いつこのような状況に遭遇しても的確な対応をするために、救急処置の方法も確認しておくべきである。
5. 連絡先を交換する
・保険会社に事故の届出をする。
・事故の相手の名前、住所、電話番号、ナンバープレート、自動車保険の保険番号と保険会社の名前を確認する。自身の上記の情報を相手にも正しく伝える。それらの情報を教えるのを拒否すると罰則の対象になる。
6. できるだけいろいろな角度からスマートフォンなどで写真を撮る
・もし、路上に停車している車にぶつけてしまった場合は、少なくとも30分はその場にいなければならない。その場合は、自分の連絡先を残して必ず警察に連絡する。
7. 誰に責任があるのか?
・すぐに事故の責任を認めない。
ドイツで交通事故にあったら?
・事故の相手と一緒にUnfallbericht(事故報告書)に状況を記入する。この事故報告書に記入する目的は、誰に責任があるのかを明らかにするためではなく、あくまでも正確な事故の状況を記録するためである。
8. 片付ける
・道路が汚れていないかを確認する。もし、オイルなどが漏れている場合は、警察か消防に処理をしてもらう。
9. 最後に、Warndreieckを片付けて車を動かす。
・車が動かない場合は、レッカー車を呼ぶ。
車の中にいつも入れておくべき5つのもの
1. Warnweste
ドイツでは少なくともWarnwesteを一着車の中に常時入れておくことが義務付けられている。もし、警察のコントロールにあった場合や実際に事故にあった場合に、Warnwesteがない場合は、15ユーロの罰金が科せられる。また、EN ISO 20471:2013という規格どおりのものでないといけない。Warnwesteに関するルールはヨーロッパ内でも国によって異なるので、ドイツ国外に車で行く場合は前もって調べておくべきである。ドイツ国内では義務化はされていないが、車に乗る人数分のWarnwesteを車内に常備しておくことをお勧めする。
2. Warndreieck
ほとんどのWarndreieckは折りたたみ式になっている。すぐに緊急時に正しく設置できるように一度試しに組み立てておくべきである。
3. Verbandskasten(救急箱)
車の事故でけが人の応急処置をするために、救急箱を常備することが定められている。まだ、救急箱が車にない方はDIN 13 164という規格にあったものを準備していただきたい。この救急箱がない場合は5ユーロの罰金が科せられる。
4. スマートフォンかデジタルカメラ
事故時の写真を撮るために役に立つ。
5. 自動車保険の書類
事故時にどこに連絡すべきかなどの情報が載っているもの。ほとんどの保険会社が銀行のカードほどの大きさのカードを配布している。EU圏外に車で行く場合はGrüne Versicherungskarte(緑色の自動車損害賠償保険の証明書)も車検証と一緒に携帯するべきである。
一番大事なのは事故にあわないように安全運転を心がけることだが、それでも思いがけない時に起こってしまうのが交通事故である。被害を最低限に抑えるために上記のことを覚えていただきたい。
文責:Allianz保険 日本人担当 上田 怜