耳よりコ-ナ-生活編

やじ馬訪問レポート

S子と仲間達 美術館とカフェ探訪の巻

ある日私はふと思った。デュッセルドルフに暮らし始めて、どれくらい経つだろうか。
そして私は、日々の生活の中にどれだけ文化的な要素を持っているだろうか…
それにしても主婦の毎日は結構忙しい。朝、慌ただしく家族を送りだした後、待っているのは掃除・洗濯・買い物・料理・子育て・語学学校… 毎日延々と追いかけてくる同じ事の繰り返しの中で、気が付けば掃除も家事も手抜きばかりになっている私。おまけに何かリフレッシュ法を…と考えても、テレビかパソコンの前に座るくらいしか思い浮かばず、これではせっかく年が新しくなっても全く気持ちが新鮮になっていない事に気づき愕然とする。
こういう時にはきっと、普段とは違った空気に触れ、またお洒落で文化的なエッセンスを生活に取り込むのがいいに違いない!そして思いついたのが、素敵な仲間と共に美術館とそのカフェを訪れる事だった。
私達が選んだのはK20というAltstadtの外れにある近代的な美術館とそこに位置するカフェ。K20は20世紀のアートコレクションの他に、パウル・クレーのスケッチ&絵画が約100点常時展示されている事で有名だ。広々とした美術館では、クレーの他、ピカソ、ミロ、マチスなどモダン・アートを象徴する巨匠の作品をゆったりと鑑賞する事ができる。そしてその地上階にあるガラス張りの美しい店Klee’sは、クレーに由来して名付けられている。カフェのメニューにはドイツの伝統料理の他に沢山の多国籍料理が載っている。迷わず頼んだのは野菜カレー、ローストビーフ、スペインのハムやチーズ盛り合わせ、そしてチキンやアボカドが見え隠れするパスタ。飲み物はハウスゼクト。店長みずからサーブしてくれたそれらの食事の盛り付けの美しい事、美味しい事!美術館帰りで目の肥えた私達に、新たに鮮やかなエネルギーを与えてくれる。シンプルな店内はとても落ち着いた空気に満ちていて、ガラス張りの店内席に座っていると、ガラスを伝って頭上に優しく流れる雨粒ですら、今日のお店の演出かと思えてきた。店長Daniel Semmelroth氏と会社社長のJoanna Epstein女史によれば、もともとケータリング業務から始まったこの会社は、Niederkasselや美術館K21内のカフェレストラン経営の後、2年半前からこのKlee’sを手掛けているそうだ。他にもTonhalle内のレストランを経営しており、また現在もケータリング業務は重要部門との事。ところでこのKlee’sは、朝10時から夜遅くまで営業し、あらゆる客層を大事にしている。大体この店はK20だけでなくオペラ座の正面にも位置しており、また近くにはコメディ劇場や他の美術館もあるというロケーションの良さで、朝はコーヒーを楽しむ人、昼からはランチとお茶のお客、そして夜は舞台が跳ねた後に軽く食事とワインを楽しむ人々…と様々な客層が一日中親しげに訪れる。60名から最大140名までの貸切りパーティーも可能だが、唯一、仮装したカーニバル客のパーティーは扱わない、という頑固さが妙に新鮮だった。美術館やコンサート・オペラ、Altstadtでの買い物帰りだけでなく、散歩の帰りにふっと一人で訪れても知らず知らず絵になってしまう落ち着いたこのカフェは、夏場には屋外テラス席も出るので、この時ばかりは子連れで賑やかに訪れてもいいのかもしれない。すっかりリフレッシュした私は、今夜の夕食は何を作ろうかと楽しく考え乍ら帰途についた。張り合いを持って、今年も明るく毎日を過ごそうと楽しく思いながら!

● カフェレストラン Klee’s: Grabbeplatz 5, 40213 Düsseldorf
火~木/10:00-24:00金・土/10:00-01:00日/10:00-22:00月/休み
●美術館 K20: 上記と同じ住所
火~金/10:00 -18:00土・日・祝日/11:00-18:00月/閉館
U-Bahn Heinrich-Heine-Allee 駅より徒歩5分
地下駐車場あり。
文責・生活部 S子

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