耳よりコ-ナ-生活編

やじ馬訪問レポート

初夏のカールスプラッツを訪ねての巻

みなさんはドイツの「ハム・ソーセージ屋さん」や「パン屋さん」で、自信を持ってお買い物ができますか?私はドイツに来て3年目を迎えようとしているのにもかかわらず、未だにお店に入ってはショーケースを隅から隅まで何往復も眺めてウロウロキョロキョロ。くまなく商品を見たものの結局いつもと変わらないものを買ってお店を後にする、こんな日々を過ごしていました。しかし今回ご紹介する二軒のお店を深く知ったことによって、私も自信を持ってお店に入れるようになり、そして我が家の食卓にもドイツのお洒落なメニューを加えてちょっと贅沢になれそうな気がします。
旧市街の南側にある広場、カールスプラッツ(Carlsplatz)の一角にあるハム屋さん「Schinken Toni」。現在の店主であるToniさんのお父様が、1955年ここカールスプラッツにお店を開いたそうです。材料となる豚や牛の育ちや状態にこだわり、Toniさん独自の配合で加工した商品なので品質の高さは間違いなし。お店のお薦め商品は研究に研究を重ねたスパイスを何種類も使ったレバーブルスト。他にも珍しいものではトリュフ入りのハムや、いのししのサラミなど、いずれも絶品!本来あまり見かけない生ハムに付いている豚の皮は、ご希望に応じてその場で切って下さり、その皮を出汁に使うとコクのあるお味になるようで、毎回喜んで持ち帰られるお客様もいらっしゃるといいます。商品はその場で真空パックにもして下さるので旅行やプレゼントにも最適です。Toniさんの奥さまは日本人で、お客様とのコミュニケーションを第一に、明るい笑顔で接客してくださいます。お客様との日々の会話から、そのお客様の好みを理解し、そして何を欲しているかをキャッチするよう心がけていらっしゃるとのこと。金曜日と土曜日には彼女も店頭に立たれるそうですので、是非、足を運んでみてください。

そんな「Schinken Toni」の店舗から数十メートル歩いたところに、老舗パン屋「Hinkel」があります。取材当日も焼きたてパンがいい香りを醸し出し、店内はとても賑わっていました。創業当時の本店は旧市庁舎前に今も残っています。その頃は店前を市電が走り、市民が一日中行き交う活気のある場所だった為、お店はどんどん繁盛していき、今ではデュッセルドルフ市内に5店舗。厳選されたドイツ国内の小麦粉を使い、厳しい修業を積んだマイスターの質の高い手作業でパンを作っています。代々受け継がれているレシピで今でも人気の商品は「Urprinten=昔ながらのプリンテン」。プリンテンとは、もともとアーヘンの名物焼き菓子で、今ではチョコレートがけやナッツをまぶしたりしてバリエーションが豊富になってきているようですが、「Hinkel」のプリンテンは「これぞ元祖!」というシンプルなデザイン。見た目は瓦のような茶色の薄い板ですが、一口かじると何種類もの香辛料がそれぞれ個性を出して、一気に口の中に広がります。甘さも丁度よく香ばしい。そのほか、ドイツ人に人気のあるパンでは「Roggenmischbrot」や「Rheinisches Vollkornbrot」。これらは薄切りにして、チーズやハムをのせると最高だそうです。

今回取材したこの二軒のお店に言える共通点は、先代からの伝統を守りつつ、時代にあった味を日々追求し、自信を持ってお客様に提供すること。そして何よりも大切にしているはお客様とのコミュニケーションです。人と人との繋がりが美味しい味を見つけ出し、双方が自然と笑顔になっていくのでしょう。さて,これでもう私はお店でキョロキョロすることはなくなりました。お気に入りのハムやソーセージを大きなお皿に美しく並べ、これもまたお気に入りのパンを素敵な籠に盛り、ワインやビールを開けて、ドイツ流のおもてなしメニューとして、我が家の食卓にも豪華に加えてみようと思います。

「Schinken Toni」 Carlsplatz 0211-13 43 53
「HINKEL」(カールスプラッツ北側)Mittelstrasse 25 0211-86 20 34 21
「HINKEL」(旧市庁舎前)Burgplatz 9-10 0211-32 55 36
文責 田名部 香織

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