麹でヘルシーライフ

ここ数年、海外に住んでいても「塩麹」という言葉を耳にするようになった。今では醤油や味噌と同じく家庭料理に欠かせない調味料になっていると聞くが、一体何が良いのか、どうやって使ったら良いのかが分からないままの方も少なくないのではないだろうか?
日本にとどまらず世界中に広まりつつある麹であるが、先日ここデュッセルドルフでも「糀(米から作られた麹のこと)」に関するセミナーが行われた。
明るく楽しい若々しい糀屋の女将が、笑いを交えながら糀の良さを説明してくれたセミナーには幅広い年代の男女が集まっており、皆熱心に話に耳を傾け試食の料理に舌鼓を打っていた。糀の料理への活用法などがメインなのかと思っていた私は、糀が体に良い理由や昔からの和食の良さを見直すことを通しての食育など食全般にわたる内容に感銘を受け、家族のためにも食卓に糀を取り入れたいと思うようになった。ここから先は、麹一般のことを書く為に「麹」という漢字を使用したい。また調味料に関しては「塩麹」を使用する。
まず、麹とは何か? 麹とは、蒸した穀物や豆類に麹カビを生やした物の事で、酵素を豊富に含んでいる。日本の伝統食にはかかせない物で、味噌・醤油・みりん・清酒なども麹を利用して作られている。稲作の盛んな日本では、米麹を使った酒作りなどが広がり「糀」という漢字が作り出されたと言われているそうだ。名前ひとつをとっても日本の食文化を考えさせられる深い物が麹なのではないだろうか。そして、塩麹という調味料で身近になったと感じていた麹は、実はずっと私たちの傍にあったのだと知り、特別な物と敬遠しがちだった麹に親しみを感じさせてくれた。
では、何故体に良いのか?麹には様々な酵素が含まれており、食べ物の消化を助けてくれる為、体が休まるそうだ。消化酵素などの体内酵素の他に食べ物からとる酵素は、生の野菜や果物と発酵食品に多く含まれている。酵素を摂り入れる食生活とは、今人気のローフードなどにも通じる考え方ではないだろうか。科学的に良さを見てみると、体に良いと言われている食事スタイルに共通項が多く見出せるのも興味深い。

最後に、何故美味しくなるのか?これがやはり一番気になるところではないだろうか。実はこれも酵素のお蔭なのである。酵素はデンプンを分解して甘味をだし、タンパク質を分解して旨み成分を出す。塩麹は塩の代わりに使えば良いと言われており、実際にまろやかな塩と同じような味であるが、酵素を含むことで塩だけでは出せない食材の旨みを引き出すことができるというわけだ。そして、よく言われる肉が柔らかくなるのも、タンパク質を分解することによって筋原繊維が分解され柔らかくなると考えられている。
美味しくて健康的な麹。これを知ってしまったら生活に取り入れないのは勿体なく思えてきて、私も麹のパウダーから作った塩麹を使うようになった。どうやらシンプルな料理の方が味の変化を感じられやすいらしく、お漬物や野菜につけるディップなどが好評である。またセミナーの試食でも出されていた卵焼きは不思議なほどふっくらと焼きあがる。試食の際は焼いた人の腕が良いだけでは?と思っていたが、私でもふっくらと焼きあがったので、誰にでも出来ることが証明された。塩麹の酵素で卵の白身が溶けるようにスッと消えてしまうので調理も楽である。まるで料理上手に生まれ変わったかのような錯覚すら与えてくれる塩麹。まさに魔法の調味料!塩の代わりに使えば良いだけなので取り入れやすいのも良い。
調味料に手間をかけただけで、こんなにも料理が美味しく変わるなんて衝撃的であった。そして、せっかくだからと食材も旬のものをと考えている自分の変化に驚く毎日である。どうせ食べるなら美味しく健康に良いものを。気負うことなく自然にそう思えるようになったのが嬉しい。塩麹生活を初めて約一か月、そろそろ身体にも変化があるかしら?と期待してしまう。
皆さんもここ数年の塩麹ブームをきっかけに、調味料や素材そして毎日の食のあり方を見直してはいかがでしょう?

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文責 生活部 米山裕子