子供科学教室

高田 泰祥

2009年に日本クラブ文化部主催で子供科学教室を初めて開催しました。以来、次回2013年1月27日には第14回目を迎えることが出来ました。ここで、子供科学教室を通じて行ってきたことを振り返りたいと思います。

「目的」
・将来日本を背負う子供達に科学の興味を持ってもらうことを目的とする。
・子供達にもわかりやすい内容の講義及び子供達から質問と講師からの回答形式での双方向コミュニケーションによる参加型のプログラムとする。
・日本から遠く離れた場所であるデュッセルドルフに住んでいる子供達に、ドイツ近郊で働いている、または研究している大人からのメッセージを伝える場でありたい。

上記目的は、子供科学教室を企画していた時に設定したものです。講師に講演を依頼する際には、事前にこの目的を送り、ご賛同頂けた場合に、講師引き受けをお願いしています。事前に打ち合わせをしていた際に、この目的と会わなかった為、講師依頼を断念せざるを得なかった場合も実際ありました。子供科学教室の最も根幹となるものです。
学校とは異なった視点でのアプローチで、特に参加型のプログラムを目指しました。講師は大学、研究所のみならず、企業の方、アーティストにも参加頂き、毎回興味深い内容を目指しました。

「過去のテーマ」
第1回    CO2ってなんだろう 二酸化炭素は何だろう
第2回    自然からのエネルギー 風力発電、太陽光発電など
第3回    化学って面白い スライムを一緒に作ろう
第4回    宇宙について ブラックホールなど
第5回    科学と芸術 アトリエ訪問
第6回    星が生まれて消えるとき チリ砂漠にある大望遠鏡の映像を見る
第7回    光るたんぱく質を見てみよう 蛍光緑色タンパク質で光るハエを見る
第8回    ボルボックスを見てみよう ミニ顕微鏡を実際に作って小さな藻を見る
第9回    曲面の作り方 缶や新幹線に見られる曲面の製造方法
第10回    水素エネルギーと水素吸蔵材料 金属の中に水素が入る?
第11回    紫キャベツと紙を使った実験 身近な物を使って科学を楽しもう
第12回    コンピューターを使ってアニメーションやゲームを作ってみよう コンピュータープログラミングを体験する
第13回    確率 身近な物で確率が正しいか確かめてみよう
第14回    宇宙 宇宙を観察する

S.7  DSC00282

体験型プログラムを目指すと、実験を中心としたテーマになりがちです。しかしながら、上記のテーマの通り、実験とはまったく関係のないテーマでも積極的に採用し、映像、動画を中心とした講演や、小物を使った講演など工夫してもらいました。講演の内容も、ミクロの世界である微生物の観察から、正反対のマクロの世界である宇宙の事を学びました。実際に実験を体験することや、コンピューターを使ったプログラム基礎を学ぶなど、多彩なプログラムで開催をすることが出来ました。

子供科学教室の中でどうしても取り入れたかったテーマの一つに、”科学と芸術”がありました。これは科学とは一見対極的と思われる芸術にも、科学を積極的に取り入れている分野があり、ぜひ紹介をしたいと考え、アーティストのアトリエを訪問するプログラムを組みました。

「苦労したこと」
・講師の方を探すこと。デュッセルドルフ近郊で大学、研究所にて働いている方を探すことは大変困難でした。主に、講師からの紹介、ツテを基に、日本での知り合いの友人のその友人という関係を使って、次回の講師を見つけたこともあります。
・小学生の参加者の構成が、低学年が多く、高学年が多いという、デュッセルドルフの特殊事情があり、出席者の構成とプログラムの難易度を調整すること。簡単すぎても難しすぎてもいけないので、バランスを取るのに苦労した。
・専門用語や説明を、子供向けに解りやすく落とし込むように講師に依頼していくこと。

小学生の参加が中心であり、内容と難易度に応じて、低学年と高学年に分けて開催するなど、プログラム作成にはかなり苦労しました。

「失敗談」
数々の失敗をしていますが、恥ずかしながらご紹介します。
・事前に手配していなかったので、当日プロジェクターが無かったことが判明。急遽、車でプロジェクターを取りに行く羽目に。開催時間ギリギリに間に合った。
・時間が想定よりも掛かり、終了時間が大幅に遅れ、参加者の親からクレームを受けた。
・顕微鏡の映像をテレビに映して映像を出す予定であったが、テレビとの相性が悪く映らず。
・火を使う実験があり、ドイツの法律では事前申請が必要であったのに、それを知らずに進めていた。

他にも、燃料電池でモーターを回すはずが上手く作動しなかった。等々、沢山の失敗を経験しました。この経験を糧に、より良いプログラムを目指しています。

「大人科学教室」
子供科学教室に参加する機会のあった親から、次回は大人向けの科学教室を開催して欲しいとの要請が多く、以前より大人向けの科学教室を開催することを考えていました。3年程前、とある日本食のレストランを使って、講師を囲んでお酒を飲みながら大人科学教室を開催する計画を立てていました。しかしながら諸事情があり、この案を断念。その後2012年より日本クラブの文化部の皆様に依頼し、大人科学教室を開催することになりました。(お酒は無しですが)
第一回目は、「次元とは何か」2次元、3次元とは異なった非整数次元の紹介をしました。今後も子供科学教室、大人科学教室2本立てで開催していくつもりです。

「講師がドイツに来た理由」
講師の方に「他の国ではなく、ドイツの大学、研究所に来ることを決めた理由は」と聞いていますので、下記にご紹介します。
・自分の研究テーマに関して、アメリカとドイツの研究所で行っていた。ドイツの研究所の教授が、研究を好きに行っていいと言ってくれた。
・大学で募集があり、好条件で、現在の上司とのコネがあったから。
・自分の研究テーマ―は特殊で、世界で数大学しか研究を行っていない。最初にアメリカで研究を行い、2か所目としてドイツの研究所に勤務することに決めた。
・自分の研究分野はドイツが有名で、かつ日本での修士課程でお世話になった教授が、今の研究所の教授と同じ職場で働いていたから。

「最後に」
此処まで続けることが出来たのは、文化部、ボランティアの皆様、講師のご厚意のよるもので、感謝申し上げます。今後もデュッセルドルフの子供達に楽しいプログラムを開催していきたいと思っています。講師のご紹介、企業からのプログラムご提案、いつでもお待ちしています。

(2012年記)