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ドイツの休日

                                                                                                 文化部ボランティア

ドイツに来て驚いたことのひとつが休日の数だった、という方も多いでしょう。ドイツでは休日は州により定められています。2020年、デュッセルドルフの属するノルトライン=ヴェストファーレン州(以下NRW州)の法定休日は年11日しかありません。対して日本は18日。実に一週間分の差があります。
NRW州の法定休日のうち8日間はキリスト教にまつわるものですが、名前が複雑だったり、ましてや由来となると、日本人には馴染みが薄いものばかり。ここで簡単にご紹介します(宗派によって呼び方や定義が異なる場合があります/日付は2020年のものです)。

・Karfreitag(聖金曜日/4月10日)
Ostern(復活祭)3日前の金曜日。キリストの死を悼む日とされ、この日は肉食を避け魚を食べる人も多いそう。
・Ostersonntag(復活祭の日曜日/4月12日)/Ostermontag(復活祭の月曜日/4月13日)
Ostersonntag(イースター/復活祭)は、春分の日以後の満月より後にくる最初の日曜日。キリストが復活したことを記念し盛大にお祝いする、キリスト教の中で最も重要な日。休日になるのはその翌日のOstermontag。

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2月のカーニバルの開催日は、イースターの日付にあわせて毎年変動します。


・Christi Himmelfahrt(昇天祭/5月21日)
キリストの復活を祝う復活祭(イースター)から数えて40日目。キリストの昇天を祝います。ドイツではこの日が「父の日」です。
・Pfingstsonntag(聖霊降臨日/5月31日)/Pfingstmontag(聖霊降臨後の月曜日/6月1日)
復活祭から(その日を第一日と)数えて50日後がPfingstsonntag。「ペンテコステ」とも呼ばれます。キリストの復活・昇天後に集まって祈っていた120人の信徒たちの上に、神からの聖霊が降った出来事を記念する日、とされています。「教会が成立した日」としてお祝いする宗派もあるそうです。休日になるのはOstern同様、翌月曜日Pfingstmontag。
・Fronleichnam(聖体の祝日/6月11日)
聖霊降臨日の次の木曜日と定められています。キリストが弟子達にパンと赤ワインを少しづつ与えた出来事に由来する、「聖体拝礼」という儀式の意義を強調するため、1264年に教皇庁が聖体節を制定したことによります。
・Allerheiligen(諸聖人の日/11月1日)
カトリック教会の祝日の一つで、全ての聖人と殉教者を記念する日。日本のお彼岸のように、お墓参りをする人が多いそうです。
・1. Weihnachtsfeiertag(クリスマス/12月25日)
キリストの誕生を祝う日。この日は静かに過ごす家庭がほとんど。クリスマス前後はお店が短縮営業や閉店になることが多いので、ご注意を!
・2. Weihnachtsfeiertag(ボクシングデー/12月26日)
英語で"Boxing Day"。クリスマスプレゼントの用意ができない貧しい人々のために、教会が寄付を募り、クリスマス明けの26日にプレゼントを配ったという習慣によります。またクリスマス期間中に働いた使用人の為の休日でもあり、主人はこの日だけは自分で家事をしなければなりません。

キリスト教に由来しない休日も3日あります。
・Neujahr(元日/1月1日)
ドイツでも元日は休日です。しかし、翌2日からは通常営業。正月ボケをする暇もなさそうです。
・Tag der Arbeit (メーデー/5月1日)
労働者のための日。この日は各地でデモやお祭りが開催されます。
・Tag der deutschen Einheit(統一記念日/10月3日)
1990年、東西ドイツの再統一が実現した日である10月3日は、ドイツのNationalfeiertag(国にとって最も記念すべき日として定めた日)です。

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今年は東西ドイツ再統一30周年。各地で祝賀行事が予定されています。

 

他の州のいくつかの休日にも目を向けてみましょう。
・Reformationstag(宗教改革記念日)
1517年10月31日にマルティン・ルターが「95ヶ条の論題」を張り出したことに由来し、プロテスタントの信者が多い地域では10月31日は休日です。2017年に限り、「宗教改革500周年」を記念して、すべての州で休日となりました。
・Internationaler Frauentag(国際女性デー)
休日の数が16州中最少だったベルリン特別市が、2019年から制定した休日。毎年3月8日と定められています。これにより、ベルリン特別市の休日は年10日となりました。
・Tag der Befreiung(解放記念日)
1945年5月8日。この日はドイツにおける第二次世界大戦の終戦日、またナチス体制からの解放記念日として記録されています。終戦75周年を迎える2020年に限り、ベルリン特別市では5月8日も休日となります。

現在、16州の中で最も休日が少ないのはベルリン特別市をはじめ8州で、年10日間。休日が一番多いのは、実は州ではなく、バイエルン州に属する「アウグスブルク市」。アウグスブルク市には、毎年8月8日に「平和祭(Friedensfest)」という法定休日があります。州の休日とあわせて年14日間の休日を持つ、ドイツ唯一の都市です。

ドイツの休日はイースターを基準としたいわゆる「移動休日」が多く、ある休日が去年と全然違う日付に移動している、ということも起こりえます。連休を利用して旅行に行かれる場合、気をつけないと「去年の同じ連休より寒かった…」なんてことも。
日本より日数は少ないものの、それらがお互いに繋がっていることの多いちょっと不思議なドイツの休日。意味や由来がわかるとより楽しめるのではないでしょうか。

(文化部 小島奈緒美)