自由コラム

「うさぎとかめ」OR「ウサギとハリネズミ」

「もしもし かめよ かめさんよ」のフレーズで始まる童謡で知られるイソップ寓話のひとつ『うさぎとかめ』は、こどもの頃、私の大好きな話の一つでした。当時は、誰でも、かめのように、コツコツと頑張れば、いつかは目標を達成することが出来ると真面目に信じていました。この話をグリム童話の発祥地であるドイツ人に話したところ、「Der Hase und der Igel=ウサギとハリネズミ」の間違いだろと言われました。当初は、日本では馴染みのあるかめが、暗い・寒い森の国ドイツでは、庭や畑・森に生息している短い脚のハリネズミに話がすり替えられたのかと思っていました。
ところが、グリム童話を読んでみると、ウサギがハリネズミを馬鹿にして競争を仕掛ける所までは同じです。しかし、ハリネズミは、ウサギに勝つために、ハリネズミの奥さんを言い含めて、ゴール地点に待機してもらい、ウサギがゴール地点につくと、『ぼくはもうついているぞ。』と、声をかけるという、いわゆる「インチキ」を
するのです。これに納得いかないウサギは何度も競争をし、挙句の果て過労死。結局ハリネズミの勝で話は終わります。なるほど、才能のないものが才能のあるものと勝負する場合、知恵を絞る必要があり、時としてズルをするのは当然かもしれないと納得させられますが、でも、ズルはズルだとハリネズミを非難したくなる。
この物語のウサギを、ドイツ人は比喩的に、働き過ぎて、過労死に至る日本人を例にします。そして、人生を謳歌するために、何が重要かを延々と語るでしょう。確かに、ドイツ人はオン・オフの区別がしっかりしていて、働く時は真面目に働き、休みの時には絶対に休む。しかも家族をすごく大切にしてくれます。これは大いに学ぶべきかと思いますが、それでも、私は、ウサギのように一日中動き回り、かめのようにコツコツ目標に向かい仕事をすることが好きです。勿論、健康が第一ですが。

編集委員 内間 ゆかり