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最初から音楽

            ペーター・ハーゼライ(市立クララ・シューマン音楽学校校長)

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ハーゼライ校長 Foto : Margret v Conta (写真:Margret v Conta)

1956年の創立以来、市立クララ・シューマン音楽学校は、デュッセルドルフにおける子供と青少年達の為の最大の教育施設です。現在、約7,200人の若い人達が、定期的に、そして喜んで、学校外での音楽の授業に参加しております。人気は非常に高く、それは長いウェイティングリストからもみてとれます。同時にそのウェイティングリストは、この音楽学校のコンセプトに対する評価でもあります。

本校は、生徒達に広範囲に及ぶ基礎知識と基礎能力を教える事を重視しております。すなわち、楽器演奏、コーラス、アンサンブルの分野での広範囲な音楽教育を実現しております。要するに、多才な音楽伝授であり、それは単に職業教育ではないものの、その準備が出来るものでもあります。この音楽学校では、全ての子供達が学べます。障害のある人でも、将来音楽を勉強する学生でも、学ぶ事が出来ます。そして入学に際する高い敷居もなければ、入学を認めない基準も存在しておりません。また本校では、分野の制限もありません。アバンギャルド、ポップ・ミュージック、ジャズ、クラシック音楽が、同じように教えられ、磨かれています。

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コンサートの様子 Foto : Margret v Conta (写真:Margret v Conta)

市立クララ・シューマン音楽学校は、市内の一般の学校での音楽の授業を補います。私達の国や欧州の音楽文化の偉大な伝統に積極的に関与し、責任を持ちながら継続する為に、日頃から実践的に音楽に取り組みます。それは、全ての参加者を、人間的に豊かにする事に貢献するべきものです。それに学術的な知識 (特に神経科医からの)が加わります。つまり音楽に従事する事、----特に子供の時から音楽を学ぶ事は----私達の脳と知性、そして社会的なふるまいに良い影響を与えます。

多様な可能性を通じて、子供の成長を早くから促進させる事は、デュッセルドルフ市にとりましても、重大な関心事です。市立クララ・シューマン音楽学校と州都デュッセルドルフの青少年局は、2009年から、比類のない教育面でのパートナーシップを通じて、音楽的な教育コンセプトを発展させております。このコンセプトは、現在5ヶ所にある市営幼稚園において、非常に効果を発揮しております。それぞれの全日制子供施設の教育上の構想に合わせ、音楽が音楽学校において、自然で日常的な生活のフォームの一部として、教えられています。全日制子供施設の教育担当職員と音楽教育の専門家が、共同で音楽幼稚園での日々を形成しています。彼等は、音楽に伴われ、また音楽に支えられて、プロフェッショナルに、教育のプロセスを、おのずから進歩させています。

デュッセルドルフ市民の教育に関する希望には、様々なものがあります。スポーツの世界でも、大衆スポーツから先端スポーツに至るまで、多様性がありますが、音楽の世界も、そうしている内に多様化しております。音楽学校では、その潜在能力、要求、及び目的に応じて、若い人達を、個性的に育成しております。 

楽器を演奏したり発声する事で自己表現する能力、それが音楽学校における授業のテーマです。それは同時に、アンサンブルへの参加、舞台に登場する事から自らの音楽を創造的に演奏する事など、多くの音楽活動の前提条件でもあります。この基礎に基づいて、音楽学校独自のバンド、オーケストラ、コーラスが、ほぼ全てのレベルにて存在しており、そこには初心者から上級者までが参加しております。市立クララ・シューマン音楽学校のビッグバンド、青少年吹奏楽団、そして子供コーラスは、近年、国の内外の音楽コンクールで、素晴らしい賞を受賞しました。


デュッセルドルフ市と市立クララ・シューマン音楽学校では、「若者が音楽を演奏する」という音楽のコンクールが開催されております。これは、ドイツで最も古く、最も成功している若者のコンクールで、長い伝統を誇ります。毎年、ドイツ中から約 25,000人の音楽を愛する若者が集まり、ソロ演奏者かグループ単位で、このコンクールに参加しております。音楽コンクールは、自分のレベルを確認し、同世代の人達との比較をし、またその能力を認識して育成する事に役立ちます。自己のプログラムや自主性を育てる事で、コンクールの参加者は、舞台に上がる事とその演奏を通じて、常に多様な成果を引き出しております。参加者が、賞を得たか否か、あるいはどの様な賞を得たか、それは関係ありません。音楽の授業から、二つの事が理解できます。それは、コンクールでも明らかになります。つまり練習やトレーニングを重ねればそれだけ上達すると言う事、そして逆に、出演や練習を怠れば、進歩しないと言う事実です。

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生徒の演奏 Foto : Margret v Conta (写真:Margret v Conta)

今日、音楽の世界は、------ おそらく経済の世界以上にはっきりと------ グローバル化されております。それはつまり、芸術的な理解や、成果を比較した上での音楽的な技術に対する要望が、世界的に非常に高くなったと言う事です。そうした要望が、音楽の複製と再生を、世界のどこでも可能にしております。つまり私達は、世界の舞台に立ち、聴衆を探しております。あらゆる音楽的な発言も、今日では試練となります。メディア処理された音楽は、さらに当然の如くとなり、動作や交流によるコミュニケーションの見地を伴うライブ演奏(そのイメージ)への期待は、忘却の危機にさらされております。その場にいる聴衆との相互作用において、良く育成された若者のライブ演奏を可能にする事、それが、クララ・シューマン音楽学校の最重要な目的の一つです。市立クララ・シューマン音楽学校は、反応しない音楽の消費には、反対です。

                                                              独文和訳 : 稲留康夫