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カメラテクニック:構図であなたも芸術家
文化部副部長 堀 順一(Nikon GmbH)

ある人が言っていました。「カメラ、買ったその日から芸術家。」レリーズを切るだけで景色を切り取れるカメラは、誰でも簡単に芸術家になれる道具です。つまり、写真は全て作品。我々は何かを表現する為に撮影しているのです。作品と言うからには、一般に好まれる傾向が存在します。その中で最もわかりやすのが「構図」です。プロカメラマンが撮った感動的な写真や迫力ある写真には計算された構図の存在があるのです。言い換えれば、日常の風景も構図を考えることで、魅力的な写真に変えることができます。構図の観点から、皆さんの作品をより良くするお手伝いをさせて下さい。

○構図とは
構図とは、「最も写したい主題が何であるかを決めて、背景をどのように配置するか」ということです。

S.11 links oben links klein S.11 links oben rechts klein

上の2枚の画像を比べて下さい。左が被写体を真ん中に置く日の丸構図で、右が三分割法と言われている構図です。同じ被写体なのに、三分割法で撮られた写真の方が躍動感を感じませんか?どちらが良いという答えはありませんが、一般に初心者の方は左の写真のように、被写体を真ん中に置く傾向があり、背景を意識せず撮られた日の丸構図は好まれません。脱初心者を目指す方には、背景も意識して撮りやすい三分割法をお勧めします。(意図的に日の丸構図で撮られた素晴らしい写真はいくつもあります。日の丸構図が悪いというわけではないのでご注意ください。)

〇三分割法
三分割法とは右図のように9個に分割した線上や交点に被写体を配置すると、バランスのとれた画になるという経験則です。また線に合わせて背景が変化するとバランス良く感じる傾向があります。デュッセルドルフで三分割法を意識して写真を撮ってきました。右の3枚の写真をご覧下さい。

S.11 links unten klein

交点に主題を置いたり、地面と空の割合を2:1になるよう意識して撮影しました。皆様お馴染みの風景だと思いますが、三分割法を使うとバランスの取れた写真が撮れる印象を持って頂けましたでしょうか。

S.11 rechts oben klein

S.11 rechts unten links klein S.11 rechts unten rechts klein

〇もっと幅を広げるには
構図の種類は先に挙げた二つだけでは無く沢山あります。全てを覚えることは難しく、またイメージを掴みにくいのでお勧めしません。そこでお勧めしたいのが、絵画を参考に写真を撮ることです。なぜなら、構図というのは絵画と共に発展していて、多くの絵画は計算に計算を重ねた構図で描かれています。したがって絵画を真似ることはすなわち、構図を考えながら写真を撮ることと同等なのです。例えば、ポートレートを撮るならば、ダ・ヴィンチのモナリザ。街の風景をとるならば、フェルメールのデルフトの眺望。といった感じです。また、被写体をどこに配置するかだけではなく、被写体をどの角度で撮影すべきかも参考にできます。例えば、ラファエロの小椅子の聖母のような写真をとるには被写体を下から、ミレーの落穂拾いのように撮影するには被写体を上から撮影する必要があります。場合によっては日本人会報Nr.137 2016年8月号でご案内した画角による効果も必要になってくるかもしれません。絵画と同じ構図の写真を撮る為にはどうすべきかと言った視点で美術館巡りをするとまた新しい発見があるかもしれないですね。

〇結び
芸術家たるもの、道具選びも重要です。弘法筆を選ばずと言いますが、弘法も太く硬い筆を選べばよりダイナミックな、細く柔らかい筆を選べばより繊細な作品ができたと思うのです。ぜひ、沢山の写真を撮って自分の好みのカメラやレンズを見つけて下さい。少々強引な結びとなってしまいましたが、皆様の意のままの作品作りのお手伝いになれば幸甚です。