日本商工会議所だより

「ビジネスチャンスと将来動向セミナー」のご報告

2014年10月31日(金)開催

日本人会報をご覧になられている皆さんは、「インダストリー4.0(Industrie 4.0)」という言葉を耳にされたことがあるでしょうか。
世界最大の産業見本市であるハノーバーメッセで2011年にコンセプトが明らかにされ、2013年の同メッセで有識者のワーキンググループによる最終報告がなされたこの「インダストリー4.0」は、ドイツ政府が推進している技術戦略であり、現在官民が一体となり取り組み実現しようとしている「工場とIT技術の融合化」を指し示しています。

「インダストリー4.0」という名称には、第4次産業革命という意味が込められています。産業革命の歴史を振り返ってみると、18世紀から19世紀にかけて起こった第1次産業革命では、水力や蒸気機関による産業の機械化がなされ、続く19世紀後半からの第2次産業革命では、生産ラインという考え方が生まれ、電気エネルギーを用いての大量生産化が始まりました。そして、1970年代初めから始まった第3次産業革命では、電子機器と情報技術が生産工場に導入され、更なる製造過程のオートメーション化が推し進められてきました。
21世紀初頭の現在、私たちは第3次産業革命の恩恵を受けて生活しており、同時に第4次産業革命「インダストリー4.0」の入り口に立っていると言えます。「ものづくり」で強みを持つドイツでは、より効率よく、無駄を少なく、少量の生産でも利益を確保するために、インダストリー4.0への取り組みを進めています。製造工場をネットワーキング化・自動化し「工場のスマート化」を目指すこの取り組みは、ドイツが将来において競争力を維持するための鍵となるプロジェクトとも言われており、ドイツと同様、ものづくりを得意とする日本においてもこのインダストリー4.0に対し注目が集ってきています。こういった新しい取り組みからどのようにビジネスチャンスをものにするのかも含めて、当会議所はドイツ・メッセ、ジェトロ・デュッセルドルフと10月31日(金)に「ビジネスチャンスと将来動向」と題するセミナーを共催致しました。

50名を超える皆様にご参加頂いたこのセミナーでは、冒頭に当会議所・小林会頭、ドイツ・メッセ株式会社ハノーバー・メッセ担当のジーメリング上級副社長にご挨拶頂き、基調講演としてドイツ人工知能研究センター(DFKI)革新的生産システム部門代表・ツールケ博士に「インダストリー 4.0 -ビジョンから実現まで」と題した講演を頂きました。

S.3 JIHK neu IMG 2527

左より、植田所長、ツールケ博士、小林会頭、シリング氏、フェルツマン上級副社長、伊藤JIHK事務総長、ジーメリング上級副社長

続いて、エコス・コンサルタント シニアプロジェクトマネージャーであるシリング氏に、2006年よりハノーバーメッセで行われている「日独ビジネスフォーラム」について、情報交換とネットワーキングのプラットフォームとしてどのように同フォーラムを活用するかについてご説明を頂きました。
さらに、上述のジーメリング上級副社長と同社セビット(CeBIT)担当のフェルツマン上級副社長による「ドイツにおけるビジネスチャンスとしての見本市」についての対談が行われました。
ジェトロ・デュッセルドルフ・植田所長に閉会のご挨拶を頂いた後は、質疑応答とネットワーキングが行われました。

生産現場のネットワーキング化を行うために、工場内の機械やそれらを管理するソフトウェアの互換性をどのように行っていくか、インターネット接続の際の安全性をどう保つのかなど、この取り組みには解決しなければならない課題もあるということです。ツールケ博士の基調講演でも、インダストリー4.0の実現は大変な道のり(rocky road)という表現が使われており、実用化には10年が必要ということでした。これらの課題に対しどのような取り組みがなされるのか、今後も注目していきたいと思います。