自由コラム

セミの会

「日本セミの会」の会員である。酔っ払いが柱にしがみついて「ミ~ン、ミ~ン」と鳴くお座敷芸の保存会ではない。あの半翅目の昆虫であるセミの研究を目的とする学術的な会である。四半期ごとの会報には「クロイワゼミの羽化観察記録」「クマゼミの分布北限」など、想像を絶するオタクの跳梁が展開される。日本では、閑さや・・と芭蕉の句にも詠われ、儚い命の代名詞的存在として身近な昆虫ではあるが、3年から17年と地中生活期間が長い為その生態は謎に包まれている。米国には13年と17年の素数年周期で大量羽化する種類が居るが、その体内時計のメカニズムは解明されていない。
欧州、特に南欧ではセミが登場する童話も珍しくないが(イソップの「蟻とキリギリス」の原作は「蟻とセミ」だった)、ドイツ、英国などでの観察例は見たことが無い。それでもdie Zikadeなる単語は存在している。ドイツ人に「セミが鳴く」ってどう言うの?と問うと、“sie zirpt“との答え。セミは♂しか鳴かないのに・・不条理である。

編集委員 伊藤 道生